Suspension O/H & Re-Setting & Change Spring


CL7の購入直後に装着したアラゴスタ車高調キットですが、サーキットも走らなくなったことだし…とにスプリングレートの変更を試みました。
また、4万キロを超えたせいもあるのかコトコト音が出るようになり、そのあたりも気になって分解してみました。

スプリングは標準でメルヴェ製のフロント9k(200mm)・リア4.9k(260mmプログレッシブ)となっています。
今回は更なる乗り心地の向上を図ってスイフト製にすることとし、フロント8k(228mm)・リア4k(280mm)を選択しました。

フロントスプリングが先に届いたので、早速分解すると…なんと、ショックを押し下げたときの反力がありません。
アラゴスタは単筒式ですから、どうやら高圧ガスが抜けてしまったようです。
そうなってしまうとスプリングを交換したところできちんと評価できるはずもありません。
すぐさま純正ショックに交換し、オーバーホールを依頼することにしました。

久しぶり(というか納車以来)の純正車高ですが…むむむ…。
BMWのように純正足でも"それなりの"車高にならないものでしょうか。
いや、実際の車高(最低地上高)はこのままでよいので、せめて見た目だけでも…と思うのですが。

純正足の感想ですが(購入前の試乗と納車後家に帰るまでしか乗ってないのです)、これがなかなかよろしくて「これで見た目がよければね…」と思わずにはいられません(苦笑)。
まさに「しなやか」という表現がぴったりくる足回りですが、車高調に慣れると若干フワフワ感(落ち着きのなさ)が感じられますし、車高の高さからくる不安定感もあります。

オーバーホールに際しては、アラゴスタ(ブランドではなくアラゴスタ株式会社…トップラインとの関係は不明です)にスプリングを同時に交換する旨をメールしておいたのですが、それならば…と仕様変更を勧められました。
オーバーホールなんて滅多にするものではありませんし、ついでなので仕様変更も依頼することにしました。

気になる依頼事項ですが…私が伝えたのはスプリングのスペックとタイヤサイズ、-40mmの想定車高そして
「より乗り心地よく、フラット感のある足回り」
という抽象的な内容のみでした。

もちろん「バンプ側を○○くらいにして、リバウンド側を△△で…」と依頼できればそれらしいのでしょうが相手はプロフェッショナルですから、素人の私が知ったかぶりをするよりも、すべておまかせする方が目指す足回りに近づけるだろうと思ってのことです。
ただし、どんな変更になるのかは知らせてもらうようお願いしておきました。

分解後に返答するということでしたが、しばらくすると

キットはSTD品です。
シム構成では柔らかいですが強い入力があった時に突っ張り感がある様な感じがあると思われます。
【対策】
低速の立ち上がりを若干寝かせ気味にし中速域をその分強化する感じが良いと思います。
インポートカーモデルが採用しているシム構成です。
オイルもコンフォートタイプを使います。

という回答が来ました。
「なるほど」と思いましたが、同時に「最初からそうしてくれればいいのに」と思ってみたり…。
スタンダード仕様は今のままでよいと思うのですが、コンフォート仕様はもう少し柔らかくてもよいのでは?と思えるからです。
それでも数ある車高調の中では、かなり穏やかな方ではありますが…。

しばらく(約2週間)純正足で過ごして、だいぶ慣れてきたころ…OH&仕様変更が終わったアラゴスタが戻ってきました(個人発送はできないので、ショップ経由となります。私はなじみのタイヤ館でお願いしました)。

ステッカーも貼り直され、ダストブーツも新品になって戻ってきました。

スプリング取り付けのため、いったんばらします。

ネジ山にはTEINのラスト・プルーフを、ゴム部品にはKUREのラバープロテクタントを塗布しておきました。
時々行っている作業ではありますが、装着前のこの機会を逃す手はありません。

こちらはスイフトのスプリング(リア用)。
標準のメルヴェと比べると、長くてもより軽量でした。

ちなみにフロントショックのアッパーシート〜底部までは390mm。

リアは450mmでした。

スプリングを取り付けて、装着準備完了です。

余談ですが、スプリングの端部はこのようにセレーションボルトの切り欠き部分に掛からないようにしておくとよいでしょう。
ここにスプリングの端部が掛かるとゴム製のアッパーシートが簡単に破れてしまうためです。
また樹脂のスプリングシートにはシリコングリスを薄く塗布して、すべりをよくしておきました。

取り付けは何度も書いていますので省略しますが、純正足回りは全長が長いため、取り外しが面倒です。
車高調ばかりやってると、純正はやりたくなくなりますね。

装着後、適正な車高になるまで何度か調整を繰り返して、いよいよ試乗です。
OH前の感触を忘れつつありましたが、懸案の異音は全くなくなりました。
そして乗り心地は、純正よりは悪いもののOH前よりは格段によくなっています。
もちろんワインディングでも純正より安心感はありますし、ペースを早めてもしっかり粘ってくれる足回りとなりました。

ただ、欲を言えばリアがまだ少し跳ねる感じがします。
減衰力は標準の10段戻しがベストで、それよりも柔らかくすると突き上げ感は減りますが高速になると収束が悪くなる感じです。
このあたりはまた次回のOH時(何年先になるかわかりませんが)に検討しようと思っています。
とはいえ車高調にしてはかなり快適な部類に入ることは間違いありません。
この後てらやんさんのGTI(ビルシュタイン装着車)と乗り比べをしたのですが、乗り心地に関してはアラゴスタの方がよいとてらやんさんも言っておりましたので(笑)。

1000kmあまり走行した後、アライメントも調整しました。
偏磨耗を避けるべく、フロントはトー+2mm、リアはトー+3.5mmとしました。

今回はOH・仕様変更・スプリング交換・アライメント調整と項目が多かったので、まとめてみます。

オーバーホール

通常はオイル漏れや明らかなヘタリがない限りは行わないと思いますが、私とてしばらく先のことだろうと思っておりました。
実際には予想外に早く(2年半・走行4万キロ)で行うことになってしまいましたが…ガスが抜けていたのはフロント右1本のみで残りは正常でしたので、運が悪かったということかもしれません。
アラゴスタの場合、基本工賃が1本あたり12,000円でこれにブッシュ1,000円、スプリングアッパーシート900円が別途必要でした。
ダストブーツと樹脂製のスプリングシートも交換されていましたが、こちらはサービスだったようです。
費用的には廉価な車高調が購入できるくらいの金額となってしまいますが、完全にリフレッシュされるわけですからやらない手はありません。
このようなときに備えて純正の足回りは捨てずに保管しておくべきでしょう。

仕様変更

アラゴスタに限らず、少しでも不満があるならば仕様変更も同時に行ってみるとよいでしょう。
当初はスプリングの変更だけでもよいかなと思っていましたが、実際に行ってみると明らかに違いが感じられて満足度は非常に高いです。
好みの足回りというものは人によって千差万別、せっかくOHするならばやってみる価値は十分にあります。
料金はアラゴスタで通常OH+3,000円で、どのメーカーもこのくらいが相場なようです。

スプリング

アラゴスタの標準スプリングはフロント・9kg、リア・4.8kgの組み合わせです。
アコードの車重から考えるとストリート向けのレートではありますが、さらなる乗り心地を追求してみました。
フロントのレートは8kg、リアは4kgとし、それぞれ標準スプリングよりも長めのものを選択します。
計算上では標準スプリングと同じ長さでも許容荷重は問題ないのですが、スプリングは長いほうが衝撃を穏やかに伝えるという特性があるためです。
スイフト製スプリングは噂どおり非常に軽量でした。

東京発条製作所のサイトでは図のようなグラフが掲載されており、最大許容ストロークの30%〜70%内でバネ定数公差±3%以内と謳われています。
最近話題のHYPERCO製スプリングはもっとリニアだということで興味はあるのですが…ちょいと高価ですね。

なお、スプリングのプリロードは当初ゼロにしていましたが、その後いろいろ変化させてみるとリアは若干プリロードを掛けた方が私の好みに合うようでした。
このあたりは実際に色々やってみないことにはわからないところですが…なかなか大変な作業です。

アライメント

アコードに限らずFF車の多くは、フロントがバンプ・トーアウト、リアがバンプ・トーインの傾向を示します。
曲がることに関してはベストではありませんが、常にアンダーステア傾向にあることを求められる市販車では避けられません。
それよりもキャンバー変化が問題で、CF系もCL系も車高と下げるとリアに大きくネガティブキャンバーがついてしまいます。
このままではタイヤが偏磨耗してしまうのでトーを大きくイン側に設定することになりますが、ネガティブキャンバーにより内側に、トーインによってさらに内側にタイヤが転がろうとするので、転がり抵抗はかなり大きくなりそうです。
これを避けるにはキャンバーを調整するしかありませんが、発売されている調整式のコントロールアーム(アッパーアーム)は車検非対応のため、導入には踏み切れずにいます。
もっとも実情は「検査員次第」ですので必ずしも車検に通らないとは言えないのですが、競技用パーツであることは念頭に置いておく必要はあるでしょう。
なお、フロントのキャンバーはほとんど変化しませんので、こちらは何の心配もいりません。
サーキットを走るならもっとネガティブキャンバーがついてほしいくらいですが…。


というわけで、OHと仕様変更によって足回りは理想的なものに近づきました。
操縦性・乗り心地・見た目とすべてを満たすことは不可能ですが、それらをうまくバランスさせて理想を追い求めるのも楽しいものです。
ヘタリを感じたらすぐに買い換えてしまうのではなく、OHを検討してみるのも一考だと思います。

メーカー アラゴスタ
品名 オーバーホール&仕様変更
品番 -
スペック -
購入先 アラゴスタ
装着日 2007.4.15

メーカー スイフト
品名 スプリング
品番 Z65-228-080/Z65-280-040
スペック F:8kg/mm・ID65・228mm
R:4kg/mm・ID65・280mm
購入先 Yahoo!オークション/ボム
装着日 2007.3.18/2007.3.27