バルブクリアランス調整


本来ならば数万km程度の走行後でないと必要のないバルブクリアランスの調整ですが、私のユーロRはカラカラという音が大きいようなので、念のために調整してみることにしました。

必要なものは、

などです。

作業前に基準クリアランス値を調べておき、ホンダ車の場合は冷間時に作業をおこないます。
H22Aの基準値は

です。

まず最初にヘッドカバーについているアクセルワイヤーステーやアース線を全て外します。
オルタネーターへの配線がヘッドカバーの間を通っているので、バッテリーのマイナス端子を外した後にオルタネーターのB端子を外して、その配線を除けておきます。
後に手でエンジンを回すため、軽くなるようスパークプラグも同時に外しておきます。
ヘッドカバーのナットを外して持ち上げると、ヘッドカバーが外れます。

カムシャフトが見えます。

作業開始には、まず1番シリンダの圧縮上死点を出します。
ちなみに一般的にエンジンは、クランクプーリー側(タイミングベルト側=ミッションの反対側)が1番で、ホンダエンジンの場合K20Aなどの後方排気を除けば反時計回りに回ります。

フロント左のインナーフェンダーにクランクプーリーを回すためのサービスホールがあります。
そこに19mmのソケットを差し込んで左に回します。
カムシャフトのドリブンプーリーの矢印を上に向けた状態が1番シリンダの圧縮上死点です。

ロッカーアームを揺すってみて、クリアランスがあることを確認したらシックネスゲージをカムシャフトとロッカーアームのスリッパ面の間に差込み、クリアランスを点検します。

基準値から外れていたら調整します。全てのシリンダの値を揃えてバラつきを無くすように調整するとよいでしょう。
ロックナットを緩め、アジャストスクリューを回して調整します。
調整後は再びロックナットを締めますが、ここでユーロRのFスポイラー取り外し工具を用います。
マイナスドライバーでアジャストスクリューを固定しておき、例の工具でロックナットを締め付けます。
締め付けトルクは2kgmですので締めすぎには注意しましょう。
これを排気側でも行ったら1シリンダ分が完了です。

クランクプーリーを左に回して、カムドリブンプーリーを90°左に回転させると3番シリンダの圧縮上死点です。
以下、4番、2番と続きます(当然ながら点火順序の1-3-4-2と同じです)。

すべてのシリンダを調整したら元通りに組み付けますが、その前にヘッドカバーのパッキンの半月型になっている部分に液体ガスケットを塗っておきます。


パッキンの噛み込みが無いように注意してヘッドカバーを取り付けしますが、ヘッドカバーの取付ナットを締めすぎてねじ切ってしまわないように注意します。
ほかに外した配線等とすべて元通りにして、完成です。
シビックのときは比較的簡単でしたが、ユーロRは外すものが多いのと排気側に手が届きにくいことで大変でした。

さて、私のユーロRは吸排気バルブ1本ずつ基準値外があり、吸気に0.02mm、排気に0.03mmのバラつきがありました。
完成後、エンジンを始動して暖まるのを待って音をよく聞いてみましたが...カラカラ音はそれほど変わりませんでした。
手間の割に効果があまり無かったので、少々(かなり?)残念だったのですが一応やるだけのことはやった、ということでよしとしました。

最初にも書いたように、本来ならばかなり走行したエンジンで音が大きくなってから行うものです。
かなり距離を走っていて最近音が大きくなったなあ、という場合は調整してみるとよいでしょう。